「物の命」「代受苦」「無常」
 (H23年4月14日 北陸中日新聞)


瀬戸内寂聴さんの言葉。

「3.11」東日本大震災に際して。


「物を使い捨てる思想は戦後、米国から入ってきました。それまでの日本では、靴下も使えなくなった電球を入れ、

破れたところに布を当てて継いだものでした。それは物の命を大切にすることだと思うんです。もったいないという

考えをもっと思い出しましょう」


「キリスト教に『代受苦』という言葉があります。キリストが人々の代わりに、はりつけに遭ったことをいいます。被災地

の人は、自分の代わりに苦しんでくれている。そう考えれば被災地以外の人も、人ごとでなくなると思うんですね」


「源氏物語では、嵐の一夜を、源氏がひどい状況から立ち直るきっかけとして描いています。どん底にいても、人は必ず

立ち上がります。仏教でいう『無常』。同じ状況は続かないのです。だから被災者の方々も絶望しないでほしい」


命のあるものが生き物で、命のないものが物という考え方が、揺さぶられた。アニミズム。

十字架を負うことのたとえが、分かりやすい。

無常という言葉は、無情に通じるとの思い込みがあったことに気づいた。ポジティヴな「無常感」を、大切にしたい。


2011/04/18 07:07